2014年11月22日土曜日

【偽イベントシナリオ】 本格的な冬に入る前の買出し

【偽イベントシナリオ】 本格的な冬に入る前の買出し

 
ふぅ、寒くなってきましたね~。
そろそろ冬ごもりの準備をしないとだよね。

(ずんっとダルク金貨がいっぱい入った革袋をテーブルに2つ置くクィ)

ここに800ダルクあるの。
冬の間に必要な食材とか、一緒に買い出しに行ってほしいのだけれど、
誰か一緒に来てもらえるかな?
帰りの荷物も、私ひとりじゃ持てないから、手伝ってもらえると助かるの。
一緒に、お買い物に行きましょう♪

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参加者:
退かない媚びない顧みない・エレノア・エリオット(c04817)
赤い瞳の・ティ・ハンクス(c01976)
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<リプレイ>


 ラッドシティの都市部まではかなりの距離があるため、買い出しに行く3人の朝は早かった。
「もう、買い出しの季節かー」
 退かない媚びない顧みない・エレノア(c04817)の吐く息も白い。年末になるとお店も混むし、いまのうちに買いに行くのはいい判断だと、そう思う。
「ふぅ、この時期は朝も寒くなってきましたね~」
 白いミトンをつけた狐憑きの少女・クィ(c03420)も、あくびをかみ殺しつつ朝の挨拶をする。
「クィは馬には乗れるのか?」
 いつもの調子で飄々と尋ねるのは赤い瞳の・ティ(c01976)だ。
「スティードちゃんなら乗れたのよ、アビリティで」
 だがクィは自由農夫だった。そう、都市部までかなりの距離があるため、3人は牧場に行って馬を借りることにした。

「かくかくしかじかで。馬を一頭お借りできますかねー?あ、何か必要な物があれば、ついでに買ってきますよ」
 エレノアが訳を話すと、牧場主は、そういうことなら、と馬を貸し出してくれた。
「そうさな、それだったら塩を1袋頼もうかね、余裕があったらでかまわないからな」
 1頭でよかったか、と男性が見ると、馬具を取り付けた馬にエレノアが颯爽と跨ってみせた。

 あとの2人はというと……
「ほら、リュックをグランスティードの横につけたから、入るといいぞ。窒息しないように、顔だけ出してな♪」
「いや、変な乗り方させられるよりは、普通に相乗りさせてほしいかも」
 ノリノリだったティにわざわざ断るのもどうかと思ったクィだったが、実際にグランスティードの横に取り付けられたリュックを目にするや否や、秒速で断った。
 怒られはしなかったものの、拒否されたティは仕方ないなぁ、と少女を後部座席に乗せる。
「落ちないように、しっかりつかまっててな」
 コクコクと頷いてぎゅっと胴を握るクィなのだった。


 ラッドシティの街に着いたのは昼の少し前のことだった。

 自分たちのために買う物は、ジャガイモ、タマネギ、カボチャに乾燥大豆……。心の中で数え上げるエレノア。
 必要なものを必要な分だけ……予算は800ダルク、まだまだ、買えるだろうか。
 水がある分だけ野菜は重い。冬を越すにはまだ足りないようにも思われたが、村へ持って帰れなければ、何の意味もない。重い物ばっかでごめんね、と荷を括り付けた馬に彼女は優しく話しかける。
「ちなみに、みんな、他には何買う予定?」
 尋ねると少女はぐぐっと拳を握って、あれやこれやと考えているようで。
「だしにもなるブーケガルニとか昆布,椎茸とか、ソーセージとか、ベーコンも心もとないので補充したいです。ぁ、バターも、がっつり」
「ハチミツだぞ、クィ。ハチミツクッキー、ハチミツケーキ、ハチミツシェイク。いくらあっても足らないぞ。樽で買おう♪
 エレノアがウィンク多めにすれば、きっと大盛りにおまけしてくれるぞ」
 と、こちらはお祭り気分。

 3人であれにしよう、ここはどうだとワイワイ話しながら、人通りの多いバザールの中を進んでいく。さりげなく、さも当然のように、大通りでは車道側を歩くティ。口では何も言わないけれど、多分それは彼がフェミニストだから、なのかもしれない。
『蜂蜜を、樽で!』
 グリッター村のとある一軒家で話している時に、仲間から釘を刺されたことをティは思い出していた。200キロは、彼御自慢のグランスティードでも運ぶのはきついかもしれない。
「壷1つくらいで我慢するかな。それと毛皮のコート」
 呟くティ。
「村の人から頼まれたお塩を買って、それでお金が余ってたらにするのはどうかな?」
「ふむ?あとは、なんだったかな、クィ」
 自分が欲しいもの以外は、わりとうろ覚えなティをよそにあれとこれと~、と思いつくままにクィはお店を覗いていく。
「ぁ、お砂糖と黒胡椒と~、茶葉も買いたいで~す」

 店員から受け取る荷物は、どれも結構ずっしり重い。だけれど、ティさんが率先して受け取ってくれた。


 あれやこれやと買い物を進めているとあっという間に昼を回ってしまった。昼間とはいえ11月も半ばのこと、吹く風も肌寒く感じられて。
「さすがにこの頃は寒くなってきたな。お、焼き芋を売ってるぞ。ちょっと買って食べようか?」
「そういえばお昼ごはん、まだでしたね」
 大きいのと小さいのを幾つか買い求めると。
「ほら、クィ、熱いから気をつけてな♪」
 そんなクィとティの様子を、微笑ましく見守るエレノアはオトナだ。
「うーん、まるでデートだよねー♪」
 甘さと暖かさで、3人のおなかと心がいっぱいになっていった。

「おっと、うっかり忘れるところだったが、ワインも購入しないとね」
 ワイン?と小首を傾げたクィに。
「飲むんじゃないよ。料理用だよ!まあ、あたしら成人組は、ちょっと飲むかもしれないけど。ちょっとだけだよ!」
 説明口調で言い募ったのは、もしかしたら言い訳が必要だったからかもしれない。クィはそう思いつつ、高くふっかけてくる店員を上手くあしらい、値切っていくエレノアを頼もしく思った。
「さすが、エレノアだな~。よし、私も」
 塩売りの店の前でティは塩を一袋抱き寄せて店員のお姉さんに、ロマンスコミュを発動!えいっとばかりに魅惑のウインク。飛ばした星に当てられたのか、ティは大幅に値切ることができたようだった。


 その値切ってできたお金でティは蜂蜜にありつくことができたようで、エレノアとクィが荷物を整理しているところにどんっ、と壷を満面の笑みで乗せるのだった。
 すっかり軽くなった、元はダルク硬貨がいっぱいに詰まっていた袋を小さく折りたたんでポケットに入れる。
「買い出し、お疲れ様でした」
 ほんわり微笑む少女に、村に帰るまでが買出しだよ。エレノアがアルトの声を響かせる。そうでしたね、こっくり頷く少女。
「さぁ、帰ろう、グリッター村へ」
 その声をついでティは、秋空へと天高らかに宣言するのだった。


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