2017年8月16日水曜日

私的『魂が宿る瞬間』考

魂が宿る瞬間。
人が生まれて来て、魂が宿る瞬間は、いつだろう。

達磨の人形がある。
達磨和尚という人物がモチーフになっているらしい。
あの、鬢辺りの柄のモチーフは、鶴と亀らしい。
そのあたりの雑学はうっちゃいで。(笑)

買ったばかりの達磨には目がない。
買い漁りたいんじゃなくて、目にあたる黒色の部分(眼)が
わざと描いてないのだ。
私は、とある進学塾の近くを通る時に達磨を見かけるのだが
片目だけ入れてある。もう片方は白目なのだ。
いつ塗るのか、というと
その達磨の持ち主が志望校に合格した時だったりする。
目標を達成した時や、何かが完成した時に
眼を描き入れられて、達磨は完成する。

奈良の大仏様がいらっしゃる。
あちらは仏教だけれども、完成の式の時に開眼といって
大仏様に眼を描き(彫り)入れた。
大仏様も達磨の人形も要は同じなのだ。

古くから日本には物には魂が宿るという考え方がある。
だから奈良の大仏様を銅や木から造って
『奈良の大仏様』として完成させる時に眼を入れて開眼させた。
達磨人形も、実際に形としては物として残らない
志望校合格という目的が完成したということを
達磨人形に眼を入れることで『完成した』ことを
記念に残す目的で使われている。

もうひとつ喩え話を持ってこよう。
『画竜点睛を欠く』ということばがある。
多分中国の話だったと思うが、水墨画の達人がいて
龍を描いたのだという。
でも絵を見たら、この龍、まだ眼が描かれていない。
なんだ、まだ未完成じゃないか、と周りが言うと
絵師は龍の絵に眼を書き足した。
すると龍がするりと絵から抜け出し
空へと昇っていってしまった。
と言うような話がある。
これは、眼を入れていない状態だから
龍にまだ魂が宿っていないので
絵として留めていることが出来たのだ
と言う不思議なお話である。

完成した時に眼を入れるのと
眼を入れた時に完成するのと
同じ現象ではないだろうか。
あえてケチをつけるなら、卵が先か鶏が先か…。

もし、眼を入れた時に完成し、魂が宿るとするならば
人が生まれて来て、魂が宿る瞬間は、いつだろう。
赤子の眼が開いた瞬間ではあるまいか。

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