2018年8月28日火曜日

プレイング『プラネタリウムより、星空を見るべきだ!』

●プレイング

教会前にて
ビルシャナの問題点を再確認
自ら「光の使徒」を名乗っていることと組織化しているところがスターシードの私たちとは違うところのようですね
「物理的になってしまうのは心苦しいですけれど、新しい時代のためにも…排除しませんとね」

仲間の説得を聞きつつ、よいタイミングで話を切り出す
インパクト重視の3段論法で説得を試みる
「本物の星空なんて存在しません!
何故ならあなたたちが星空と呼んでいるものは地球上空に投影されているホログラフだからです。
つまり、星空はプラネタリウムと同じことなのです!」
「一緒なのですよ、だから星空もプラネタリウムも、好きな方を見ればよろしいじゃないですか」

戦闘時
ポジションはキャスター、中衛です
まず清浄結界
命中率が低い人がいる列に「想捧」
「――――♪」
敵に「悠久のメイズ」「深空」手加減攻撃の内、確実度が高い攻撃をしていく

マリア様を象徴する百合の花束を手向け
このビルシャナの菩提を弔う

●パフォーマンス

リプレイ中で動かしやすいように、このキャラクターを自由に扱ってもらって問題ありません
角、羽、尻尾は普段から隠しています
腰までの長い髪をシルクのリボンでまとめています

清浄結界の見た目は
淡い光を放つ水の薄いヴェール

「想捧」時
やや落ち着いたテンポで声の質を柔らかく調整して
穏やかに失われた愛しい想いを歌い上げ、世界を愛する者達を癒やします

戦闘後に教会を修復するために回復のグラビティを施します

偽シナ&リプレイ:『恋は盲目』でないのは絶対許さない明王

 今回、TW5ケルベロスブレイドのメガネッコ騎士団にて、偽シナリオを書く運びとなりました。
参加して頂いた皆さんには、ブログへの掲載を快く承諾して頂き、ありがとうございます。
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■オープニング
「皆さん助けてください。また新たな明王が出現したのだそうです」
 息急き切ってメモを読み上げるのはマグル・コンフィ(e03345)だ。
「その、そこまで大規模なものでは無いのですが、ヘリオライダーのねむさんから旅団単位での解決を頼まれてしまいまして……。あ、続けますね」
 口を濁しつつもメモに視線を落とす。

 ねむさんの情報によると……
 何人かの配下信者をもっており、『恋は盲目』でないのは絶対許さないという教義を熱く語っているのだという。
 それだけならまだしも、カップルを見つけると配下たちはレモンの皮を片手に目潰しをしてくるのだそう。
 配下信者を倒すと『恋は盲目』でないのは絶対許さない明王がどこからともなく現れるそうです。
 あ、ちなみに明王を倒すと洗脳がとけて信者の人たちも人間に戻るそうです。

「皆さんがアマゾンから戻られたばかりの時に、こんな依頼を持ち込んでしまいちょっと申し訳がないのですが、この街の平穏を保つためにも手助けして頂けると助かります」
 よろしくお願いします、とマグルは頭を下げるのだった。

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 募集期間:8月16日まで/出発:8月22日
 難度:普通

●偽MS小野の雪より
 久しぶりに偽シナとかどうよ、と友人と話していたら降りてきたネタ、そうネタ依頼です。
 私がネタなリプレイを書けるかどうか自体がもうチャレンジ的な。
 まぁ、そこは置いといて。

●シナリオの概要
 今回の敵はビルシャナです。
 数名の配下信者がいます。
 皆さんには囮となってもらい、配下信者をおびき寄せ、配下をなんとかすることで明王を戦場まで引きずり出して倒してもらいます。

 舞台となるのは予算の関係で東京から最も近い青い海、白浜大浜海水浴場となります。
 時間の指定は皆さんで話し合わせてみてください。
(プレイングへの記載は不要です)

●敵の情報
『恋は盲目』でないのは絶対許さない明王×1

『我は「光の使徒」なり崇めよ奉れ』
 理力/近列/魔法+【プレッシャー】
『明王翼紫嵐』
 敏捷/遠単/斬撃+追撃
『清めの光』
 理力/遠単/ヒール+キュア

 配下信者×8(mobです)

 友好旅団の方や、通りすがりで気になった方も、参加は大歓迎です。
 また、このスレッドで募集と話し合う場を兼ねます。
 募集人数は8名です。
 参加されたい方はこのスレッド内で表明されてください。
 参加者が多い場合は先着順に8名までとさせてもらいます。
 ご了承ください。

 出発は8月22日となります。
 この日までに(23:59までOK)プレイングを、マグル・コンフィ(地球人のキンダーウィッチ・e03345)に手紙をしてください。
 よろしくお願いします。

 団長さんへ:スレッドの位置調整をお願いします。
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参加者:
水晶鎧姫・レクチェ(ルクチェ・e01079)
ミストリース・スターリット(ホワイトマーベル・e03180)
新条・カエデ(いけないカエデ先生・e07248)
宮岸・愛純(冗談の通じない男・e41541)
ウィリアム・ライムリージス(赤き薔薇の参謀士官・e45305)
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■リプレイ

 バスを降りて道を下るとそこはもう海、そして青い空。夏のように湧きあがる雲とはいかないものの、いわし雲が空の一角を占めて穏やかに流れていく、そんな晴れた日に5人のケルベロスは白浜大浜海水浴場に降り立った。その名の通り白砂が見渡す限りに続き、海の色は美しいエメラルドグリーンに彩られている。
 今回ケルベロスたちが戦う敵は『恋は盲目』でないのは絶対許さない明王というビルシャナなのだという。
 恋は盲目……。ポツリ呟く水晶鎧姫・レクチェ(ルクチェ・e01079)は、しかしながらとこう断じる。
「確かに一途に相手を想うことは素敵なのですが、とりあえず、迷惑です」
「だけど『恋は盲目』でなければならないなんて、ろまんちっくな敵ですねー」
 今年のケルベロス大運動会用に新調した水着を着ておっとり微笑むのはミストリース・スターリット(ホワイトマーベル・e03180)だ。
「でもレモンの皮でめつぶしなんてゆるせません。倒しまあす♪ふふ、レクチェさん、とってもおにあいです。かわいいですね!」
 自慢のキャミソール水着を褒められたレクチェは照れた心の中でこっそりと、彼はまさしく天使に違いないと再確認するのだった。
「あら、ありがとうございます、照れてしまいます~。ミストリースさんも爽やかですよ♪」
 戦闘用ドローンのミニレクチェ達もおそろいの水着できゃっきゃはしゃいでいる。

 余念無くビーチパラソルやレジャーシートも準備してきているのはウィリアム・ライムリージス(赤き薔薇の参謀士官・e45305)。
「私はカエデくんと組んでの偽カップルですね。それにしてもカエデくんの赤ビキニ、惚れ惚れするほど似合いますねぇ」
(偽とはいえデートとか久し振りですし……楽しみですね♪)
 赤のビキニを身にまとい、心に秘めた期待に胸膨らませるのは新条・カエデ(いけないカエデ先生・e07248)だ。色白の素肌にその豊満な胸を惜しみなく晒すもののアクセントのリボンが可愛らしさを添えている。そして茶色の長髪も今日は毛先をくるりん、ポニテでバッチリ決めv 彼はそんなカエデにすでに魅了されつつあるようで。
(デートといっても偽の囮役なので、意識してないと本気で惚れそうでヤバい……それにしても)
「飛び入りで参加してこんなオイシイ役貰って良いのかしら?」
「気にしちゃダメよ、楽しみましょう♪」
 抱いた疑問にいけないカエデ先生からの即答で彼の心は決まったのだった。

「しっと戦士とは!悪(デウスエクスやリア充や腐れアベックやバカップル)と戦い正義(独り身的な意味で)を示す勇者に与えられる称号である!」
 しっと戦士の思いが受け継がれた書物を今日も一読し、バックパックに仕舞うのは宮岸・愛純(冗談の通じない男・e41541)だ。
(分かってはいる、分かっちゃいるけどそんなわけで偽装カップルと知りつつも、カップルの男側には心底嫉妬。それは攻撃も辞さない覚悟だな)
 鼻息荒く心に嫉妬を燃やしながらも、まずはビルシャナ信者が出てくるのを待つべくビーチの茂みに身を隠した愛純は、ビーチに散らばってゆく紅白と青緑の彩をしばし静かに見守ることにした。


 ウィリアムがダッチオーブンにバーコレータをセットしたところで彼女から声がかかる。
「浜辺なので水着で追いかけっこしたいです。いいですよね?」
 まだ強い日差し避けにとカエデが麦わら帽子を軽く被ると耳元がキラリ煌めく、と。
「そーれそれ」
 否も応も無く間髪入れずに水をパシャパシャかけてから逃げ出すカエデ。不意に飛ぶ水しぶきに濡れながらも、そんなイタズラも愛おしく感じて2人は波打ち際であははうふふの追っかけっこ。そんな2人を意識してか、レクチェはぐぐっと拳を握る。
「カエデさんとウィリアムさん、いちゃいちゃ上手です、負けられません!」
 盛り上がっているレクチェに合わせて3体のミニレクチェが賑わうと、彼女はちょいちょい、と彼女の天使に手招きして。
「さあ、ミストリースさん、スイカ割りですよ、眼鏡を預かりますね」
 彼のその澄んだ天上の蒼の瞳にそっと睫毛を伏せられると、彼女はほんのちょっと甘い吐息がかかりそうな位置まで顔を近づけ、両手で丁寧に眼鏡を外し、大切にケースに仕舞う。
 実はめがねっこ好きな彼女にとっては夢にまで見たシチュエーションだったに違いなく……、その証拠にズレた華奢な眼鏡の細縁を慌てて直す様子が見られたのだとか。その天使はハチマキで目隠しをしてぐるぐる回ったついでに目もぐるぐる回っていた。取り囲んだミニレクチェたちがやんや、やんやと囃す中、手渡されたバスターライフルの先端を握り、おぼつかない足取りでスイカ目指して歩いてゆく。
「右ですよ~」
「左~」「「右~」」「え~左だってば~」
「そこをまっすぐに~」「次は左ね~」「あ、まっすぐなんだって」「あ、じゃぁまっすぐだね~」
「今です、飛んで~♪」「「「ごー♪」」」
「え、え、みぎですか?ひだり?うえ??」
 当てずっぽう、だけど思い切って振り下ろすとそこはまさしく大当たり。ぽこんと響いた鈍い音と共に赤い果肉が日差しを浴びる。きゃっきゃとはしゃぐミストリースにレクチェもつられてにっこり。
「青い空、白い波、夏を満喫です~♪」
 思い切り背伸びをした次の瞬間、怪しい集団が2人と3体を取り囲む。その手にレモンの皮が握られているのを見て取るとレクチェは誰何の声を上げる。
「え、だれです?ああ、明王さんたち。本当に来たんですか、空気を読まない人達です~」
 レモンの皮を隠し持っていたミストリースは先手を打って目潰しを狙う。
「えい!たにんの痛みを知るのです」
 思いもよらない反撃に信者の1人は、もんどり打って転げ回る。それでもよろよろと起き上がったところに甘やかな香りが立ち込めた。
「右ですよ~」
「左~」「「左~」」「次左ね~」
「そうそう、そこをまっすぐに~」「「まっすぐ~」」「ふらふららめなのよ~」
「今です、飛んで~♪」「「「ごー♪」」」
 飛んだ先にはすっぽりとはまる落とし穴が……!!
 それはあっという間の出来事で、頭だけ出して砂に埋められた仲間の救出は不可能と見切ったのか2人に一斉に襲いかかる。
「『恋は盲目』でなければならない、そうでなければいけないのだ!明王様に恋の盲目をお捧げするために!」
 構えられるレモンの皮、そして飛び散るレモンの汁飛沫。
「残念でした、レモン汁をかけられても、私達には眼鏡があるので効きません~……って、レンズが汚れたじゃないですか、万死に値します!」
 目がしみるとか服が汚れるとかそっちの方ではなく神聖な眼鏡を穢されたことに憤慨したレクチェはミニレクチェたちに指示を出す。即座に『おしごと』に取り掛かった3体と共にミストリースも加勢する。手加減を加えて動けなくした結果、彼らはもれなく砂埋めになった。


 ひとしきりはしゃいでいると不意に風がカエデの麦わら帽子をさらう。ウィリアムがさらりと返すとカエデは微笑んで。
「少し休憩にしませんか。お弁当があるのです」
「おやお弁当までですか?では私は紅茶を淹れましょう、いい茶葉が手に入りましたのできっとカエデくんのお口に合うかと」
 設営した場に戻るとカエデはお弁当箱を取り出す。
「かんたんな物ですが……」
 蓋を開けるとサンドイッチが顔を覗かせた。こっそり1つだけ仕込んだ、からし多めの当たりに思わず素が出てしまった彼に、いたずらですよ、と口直しにとお水をあげつつウィンク。ベルガモットの爽やかな香りが2人を包み込んでゆく――。
 カエデの膝枕にウィリアムは内心バクバクものだった。
(……って膝枕ですかッ!?……あの……脚フェチ純情ロマンチストにコレは……惚れちゃいますよッ!?)
 囮役、そして偽のデートだからと葛藤するウィリアムをよそにカエデは、彼の頭とかなでるとちょっと気持ちよさそう、とか考えるのだった。なでてみましょうか、告げるとカエデの柔らかい手がよく手入れされたウィリアムの髪に触れていく。ウィリアムも、お返しに髪を指に絡めて弄んだりしてイチャイチャぶりをここぞとばかりにアピールしていく。
(優しいし可愛いし、きっとモテるんでしょうね、カエデくん……)
 ウィリアムさんの髪って……言うか言わないうちに、レモンの皮を片手にした見るからに怪しい集団が2人を取り囲んだ。
「『恋は盲目』でなければならない、そうでなければいけないのだ!明王様に恋の盲目をお捧げするために!」
「……あれ?そういえばビルシャナ倒しに来たんでしたっけ?」
 奇声をあげつつも、瑞々しいレモンの皮を天に掲げる信者らを見て、今回の目的を再認識するカエデなのだった。
「見よ!俺様の嫉妬魂は暑苦しいまでに燃えている!!」
 隠れるためとはいえ全身を覆うケルベロスコートを着た愛純は、見た目にも暑苦しい。それもそのはず、その嫉妬のために心臓まで地獄化してしまった彼の瞳も熱い闘志にメラメラと燃えてしまっているのだから。機先を制する愛純の大音声に信者らも敵か、はたまた味方なのか、困惑を隠せない様子。さても顔馴染みの登場に、ウィリアムは内心冷や汗をかきつつも安堵するのだった。
(……危なかった……これが『いけないカエデ先生』の魔力か……。……本気になるトコだった……)
「そも盲目以前に恋愛ごとなどするとは!全世界410万のしっと戦士を敵に回して生きていられると思うのか!だが敵に回さない方法がある。それは盲目にならず相手をよく見定める事だ!そうして相手が自分に合わない事に気付き、リア充になるのをあきらめればきさまらは生存を許されるのだ!リア充になって死ぬか、しっとに生きるか!好きな方を選べ!」
冗談の通じない男はその場にいる者たちに詰め寄り、熱く語りかけてゆく。ややあって、男の目にカエデの笑顔と共にレモン汁が無慈悲にピュッと絞られる。そんな汁対応な冗談もこの冗談の通じない男には本当に通じなかったのだった。
「えっと、そんな事してるより恋人見つけたほうがきっと楽しいですよ」
 と、こちらは前向きないけないカエデ先生の意見、そして。
「恋は盲目とは言うけれど、物理的に盲目になったらダメじゃないですか!相手の姿も見れない!瞳を互いに見つめ合ってキラキラすることもできないじゃないですか!」
 と語るこちらはロマンチストな英国紳士なのだった。
 3人の畳み掛けるような説得に、信者らは愛純を少なくとも仲間ではないと判断したらしく、ええいままよとばかりに打ちかかるもケルベロスに敵うはずもなく、あっという間に地面に転がされてしまった。


 きゅっきゅっ、メガネのレンズを拭いて掛け直すとレクチェは声高にお説教を始める。
「『恋は盲目』なんて言うのなら、わたしからも言っちゃいます。恋人同士の邪魔すると、馬にけられちゃいますよ!」
 首から下を砂埋めにされた信者らが何か病的にブツブツ呟いているのは、その間も止まることはなく、ひょうと駆け抜ける一陣の風に振り返ればあれはまさしくデウスエクス・ガンダーラ。
「『恋は盲目』でないのは絶対許さない。何故なら『恋は盲目』であるべきだからである」
堂々たる体躯から威厳ある声が響き渡ると待ちに待った敵の出現に猛るケルベロスが牙を剥く!
「まったく、『恋は盲目』って周りが見えなくなっていい事なんて何一つないです。あと、盲目ってそういう意味じゃないですから!」
 組み合わされた2本のギターをかき鳴らし、いけないカエデ先生のライブが今、幕を開ける!
「さぁ、カエデ先生のいけない授業、はじまるよーっ」
 光の強い意志を示す希望の歌を高らかに歌い上げる間に愛純、ウィリアムの2人が一気に距離を詰めてゆく。
「嫉妬ゆえに人は苦しまなくてはならぬ」
「続きますよ!お手並み拝見……ですかね」
 愛純が思いの丈を炎に宿した拳を繰り出すと同時にウィリアムは彼のパートナーの天霧・裏鶴(e56637)を召喚する!
「剣魔双輪・両華斉放!我らの剣舞に酔いしれるがいい」
 二刀一閃の、その華麗なる斬撃から刹那、薔薇と桜の花弁が舞い踊り、春はかくやの幻を結ぶ。
「私たちも続きます!水晶鎧姫、バトルフォーム!」
 バトルモードにチェンジしたレクチェの両手のバスターライフルから巨大な魔力の奔流が放たれる!
「こいはもうもくじゃないとダメ、なんてじょうねつてきです。でも押し付けちゃダメ、ぜったい。星々の小さな光よ、集まって我が力となれ!」
 うささんいくよ、声をかけるとファミリアロッドの先端、小さなうさぎの眠る水色の宝玉がキラリ煌めき小さな光の粒が夜空の星のように統ばってゆく。
「おほしさま、ごー」
 ミストリースの合図に、凝縮された魔力は星になって降り注ぐ!続けて愛純の愛を信じるピュアな心が具現化したしっと魂が尖った尻尾からその愛の心をナノちっくんする!
「我は「光の使徒」なり!崇めよ、奉るのだ衆生よ!」
 血染めのビルシャナが両翼を天に掲げ、両の眼をカッと見開くと目が眩むほどの強烈な後光と威圧がケルベロスに襲いかかる!
「ウィリアムさんっ!」
 レクチェを庇って深い傷を負うも涼しい顔で彼は微笑む。
「なに、私が立っている限りレディーには傷一つ、つけさせはしませんよ」
「ウィリアムさん、癒されてくださいね、ヒーリング・キスv」
 カエデの投げキッスがウィリアムの傷を癒してゆく。ミストリースもふわり虹色の幻想をまとった魔法のブーツのかかとを鳴らし、戦場に仲間達を癒やすホワイトマーベルの花びらのオーラを降り注いでゆく。その間にもケルベロスの猛攻は止むことを知らない。地獄の炎でも溶けることの無い、無骨な鉄塊の如き巨大な剣に地獄の炎を纏わせた愛純が滑り込んで肉薄し、その炎ごと叩きつけると彼のしっと魂からもハート光線が放たれる。ウィリアムは指輪から狩猟用ライフル銃を素早く具現化させると影の弾丸を撃ち放った!過たず捉えた影は傷口からじわりと侵食していく。
「皆さん、熱いですわよ!」
 一声掛けてレクチェは焼夷弾をばら撒くと瞬時に燃え上がる。ぷすぷすと焦げる臭いが辺りに漂うも、さっと炎が引くとビルシャナはあらん限りの力で翼を羽撃かせると凄まじい暴風と共に無数の羽手裏剣を撃ち出してきた!狙われたカエデを庇って、羽根まみれになったしっと魂が力無く転がる。
「これが明王翼紫嵐の威力なのか、なんという凄まじさだろう。きさまとは敵として会いたくなかった……せめて我が奥義で葬ろう!!」
 愛純を覆うバトルオーラが一際に燃立つ!
「受け取れ!これが俺様全力の愛と哀しみと正義と嫉妬の拳だぁぁぁ!!」
 愛純の拳が炸裂し、爆音と共にビルシャナは跡形もなく消失してしまった。
「嫉妬戦士としては当然の結果である」
「ざっとこんなものです」
「わあい、勝てました」
 皆が勝利を噛みしめる中、ミニレクチェたちがナノナノにヒールを施すと愛純の方へ嬉しそうに飛んで行った。


 戦場となった周囲をヒールしていくのはカエデとウィリアムの2人だ。
「いやぁ、いい思い出ができました」
「来た時よりもきれいにですよ♪」
 こちらは海に沈む夕日にぽつり呟くレクチェ。
「でも、恋が盲目だなんて、本当に男性はロマンチストですね。くす……♪」
「盲目云々はともかく恋愛自体は良いものですねえ。ところで…カエデさん、もしよかったら私とデートしてもらえるだろうか?」
 愛純に、はしっと手を握られたカエデは握られた手からするりと抜ける。しばしの沈黙の後、カエデは愛純の目にレモン汁を思い切り絞る結果となったようだ。咳払いを一つすると何もなかったかのように愛純は向き直って申し込む。
「レクチェさん、もしよかったら私とデートしてもらえるだろうか?」
 残念ながら首を縦には振ってもらえなかったらしく、心底愕然とする愛純ににっこり微笑みかける存在は小さな天使だった。
「愛純さん、例えばレクチェさんとぼくとはたぶんカップルというよりおねえちゃんと弟みたいかもです。でも楽しくしてたら良いですよね!せっかくの海ですし、みんなで遊びたいですー!スイカ割りのつづきをしましょう!」
 はしゃぐ天使に心癒され、皆で夏の終わりの海を思い切り楽しむのだった。