それはずっと前のことで
もう10年以上も前のことになる昔話だ。
ミオナは泣いていた。
どうしようもなくて泣き濡れていた。
だから私は寄り添った。
それから同じ種族ということもあって
私たちは、しばらく時を共にした。
戦火が激しくなり共に戦い
私は命を散らした。
今度は私の手で
また、彼女を泣かせてしまった。
もっと思い出に残しておけばよかったね
後悔は、ほろ苦い。
別の世界で私は2度、ミオナに出逢うことができた。
1つは奇跡の再会。
もうひとつは、きっと運命の悪戯。
あの時の名刺を、ふと、目にして
ふたつのミオナが繋がった気がした。
ミオナは私に素敵なプレゼントを残してくれた。
あのまばゆいステージで
彼女はパッショネイトダンスを踊ったのだから。
私の心に鼓舞を与えてくれた彼女は
ほどなくして嫁いで行った。
私たちの縁は、いつも儚い
仮初めの縁なのだろうと想うのだ。
形に残した思い出は、ひとつ。
2人で過ごした
今はもう戻らない日常を
思い出と共に噛み締めながら…。

『無限のファンタジア』(C)小野の雪/にまい/トミーウォーカー