2014年11月11日火曜日

TW3 偽イベントシナリオ≪湖面庭園 【睡蓮堂】≫『素人パスタ大会』 オープニング&リプレイ

クィ、とっても楽しみなんだよう★(きゃいきゃい

みんなでパスタを作って、その味を競いあうお祭りなんだって♪

だから、えっと……、クィと一緒に『素人パスタ大会』に行ってくれる方、いるかな?(そわそわ
 
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●ネコ耳のカチューシャと守られた平和

「は!」
そのことに気づいて全身の血の気が引く思いにかられたのは、やっぱりどじっこ皇女編・ヴァゼル(c13187)だった。
今日は『素人パスタ大会』。
えー本日はお日柄も良くー……と町長が挨拶をしている最中のことだった。

(「ふふふ、今日は美味しいパスタを作るコツを、盗んで帰りますよー」)
メモ帳片手にニヤリと笑むのは紅嵐焔姫・ナナセ(c07962)だ。
(「それもこれも大好きなあの人のた・め……♪」)

そんなナナセを見つけたのか、駆け寄ってきたのは手の中の小さな温もり・クィ(c03420)だった。
「ナナセさん、こんにちは、なんだよう。ナナセさんも、もしかして素人パスタ大会に出場するのかな?」
期待感にそわそわを隠せないクィ。
「残念ながら、今日はのんびりまったり会場を見て回りつつ、参加される皆さんの料理の邪魔にならない程度に、美味しいパスタを作るコツを伝授してもらいに来たっすよ」
「そっかぁ、……あ、でも、パスタ料理の秘密、いっぱい見つけられるといいよね♪」
クィはこっくりと笑顔で頷いた。

「はいみんな差し入れですよ。あと良かったらつけてください」
のんびりした話し方、しかし愛嬌を振りまくのも忘れない雪割りの花・カレン(c03490)は、自分の畑で作った新鮮な採れ立てのトマトと、ネコ耳のカチューシャをみんなに配って行く。
「これでみんなおそろいですよー。クィさんも、おひとつどうぞ」
「カレンさん、ありがとうございます、なんだよう。早速、つけてみるね♪」
よいしょ、っとネコ耳のカチューシャを被ってみるクィ。何となく、そわそわしている様子に。
「楽しい日になりますように、です♪」
カレンはウインクを投げて応えた。

「わ~いわ~いパスタだパスタだ、っていうかヨツハの手料理だ。何気に手料理食べるの初めてなんですよね!いやぁテンションが上がる上がる!」
一方、新婚ほやほや特有の、ばカップル振りを大いに発揮するのは、デウスエクスマキナ・ベルンハイト(c18697)だ。
このイベントで彼の愛妻が手料理を張り切って振舞ってくれるということで、普段の3割増しでハイテンション!になっているに違いない。
世の中には、ばカップルに免疫が無い人もいるのだろう、ベルンハイトが振りまく愛のヨツハコールに驚いて振り返る一般人も幾人か。
「あ、そこウザいとか言わないでください。愛しの人の手料理と聞いてテンションが上がらね~とか男じゃないですよ、いやマジで」
ここぞとばかりに熱く語る男、ベルンハイトだった。
そんなベルンハイトを見つけたクィが駆け寄って行く。
「あ、ベルンハイトさんが来られているってことは、ヨツハさんも一緒なんだよね♪ヨツハさん、今日はどんなパスタを作られるのかな。ベルンハイトさん、知ってる?」
小首を傾げて尋ねるクィに。
「どんな料理が来るかは知りませんがそれゆえに!どんなものが出来るのか楽しみにしつつヨツハを応援いたしましょう!」
更に盛り上がったベルンハイトは、愛妻を応援することに決めたようだった。
「ヨツハさんの手料理、楽しみだよね♪」
お揃いのネコ耳のカチューシャで、にっこり微笑み合った2人だった。

●パスタ料理戦線~それぞれの戦場にて~

◆パスタ料理作成~ヨツハ編~
「ベルのために最高のパスタ作るよっ♪」
カレンから分けてもらった完熟トマト片手に気合充分なのは、桜色の幸せ四葉・ヨツハ(c15542)だ。
鍋にたっぷりのお湯を沸かし、大さじ1杯の塩を入れ、そのぐらぐら湧いている鍋に、計量したパスタを華の様に投入する。
「これでよしっと。さて、その間に……♪」
別の鍋に沸かしていたお湯にトマトを潜らせ。
(「そろそろかな?」)
今度は氷水で冷やすと……一皮剥けた、いいトマトがつるんと顔を出す。
全てはそう、“愛するベルンハイトのために……”。

パスタが茹で上がるまで、もう少し。あとは時間との勝負。
ヨツハは湯剥きしたトマト,チーズを1cm角に刻んでいく。
薬味にはにんにくをすりおろし、青紫蘇は千切りに。
茹で上がったパスタをザルにあけ、さっと冷水で荒熱を取り、しっかり水を切るとパスタをボウルに入れる。
先ほど切ったトマトとチーズ、すりおろしたにんにくにオリーブオイルを絡め、和えていく。
塩コショウで味を整えて、皿に盛り付けて青紫蘇を散せばもう、【簡単ひんやり冷製パスタ ヨツハスペシャル】の完成だ。

夫のためにと一生懸命作っているヨツハを遠巻きに見ているナナセ。
(「これは……まさしく愛っすね!」)

◆パスタ料理作成~カレン編~
「こうみえてもカレンは自由農夫なんですよ」
といってパスタ料理作成にエントリーしたのはカレンだった。
今回カレンが作るのは、オーソドックスなミートソーススパゲッティ。
しかし侮る無かれ。作り方はシンプルだが素材で勝負、というわけだ。
趣味の植物好きが高じたとはいえ、蒼炎騎士団の詰め所に行けば、可憐な草花が咲き乱れる光景が見られるだろう。
そのご自慢の自分の畑で作った新鮮な採れ立てのトマトを、惜しげもなく使ったミートソースは、最早、絶品と言ってもいいのではなかろうか。

「カーレーンーさんっ♪ナナセっす。こう、美味しく作るコツとかあるんすか?」
ひょこっと顔を出したナナセにカレンは、トマトへの想いを熱く語ったという……。

◆パスタ料理作成~ヴァゼル編~
「…残念ながら【紫色の斬新パスタ】は用意できません!」
泣く泣く、まかない料理のパスタを作るヴァゼルの胸の内を知るものは、いかばかりか。
その結果として、この大会を楽しみにしていた多くの人が犠牲者にならずに済んだ事は、言うまでも無い。

「でも、参加はするんだよね?ヴァゼルさんは、何を作るの……?」
クィは小首を傾げて尋ねる。
「料理するのはこれです」
【海鮮すばやくパスタ】と書かれたメモをさっと取り出して、意気揚々と説明をするヴァゼル。
おでこに貼られた5枚重ねのどじっこシールアルファと、ネコ耳のカチューシャが醸し出す雰囲気とのギャップに、思わず笑みがこぼれてしまうクィだった。

「…っていいでしょうか?」
「実際どじっこと言いながら…どじするとへこむ心はあるわけで」
ずれた眼鏡を直したところで、ヴァゼルは調理に入る事に決めたようだ。
「はーい。じゃぁ、後でまた、ね。クィも作らなくっちゃ、だからね♪」

使うのはもちろん、今朝採れ立ての新鮮な魚介類。
まだ跳ねる海老の殻を剥き、アサリと共にすばやく茹で、茹で立てのパスタに混ぜ込んでいく。
その際にライムを二個絞って掛ける事は忘れない。
そこにバジルの千切りをかけて。
「ついで焼き海苔も千切りしてかけて……っと……完成です」
彩りも鮮やかな【海鮮すばやくパスタ】は、一口食べれば、程よい酸味が清涼感をもたらしてくれるだろう。

◆パスタ料理作成~チャイ編~
My調理器具や材料の入った大きな袋を担いで会場入りをするのは、花咲く笑顔の・チャイ(c10051)だ。
彼のいつもの服装にシンプルなエプロンをつけ、髪が料理に入らないようバンダナを頭に巻いて、準備完了。
エントリーして持ち場に着いたらパシパシと頬を叩いて気合いを入れるチャイ。
「…よ~し、がんばるぞ~っ」
今日は【冷製デザートパスタ】作りに挑戦だ。
茹でた後、冷やしたフジッリ(螺旋状パスタ)の上に、フローズンヨーグルトと甘いブルーベリーソースを添えていく。

「ボクはコテコテに甘いのが好きだけど、今日は勝負に出るから甘さ控えめでね」
「ほうほう……味付けはシンプルに……っすね」
メモを取ったナナセは、チャイにお礼を言う。
チャイは、次の戦場へ赴くナナセを笑顔で見送った。

そう、味付けは極めてシンプルに仕上げた。
素材そのものの味を最大限に生かすために。
(「ふぅ……、こっちも作り終わったし、みんなの料理を試食しに行っちゃおうかな」)

◆パスタ料理作成~シェミア編~
白いフリルエプロンをつけた少女は守護獣の背を護りし刈り手・シェミア(c19503)だ。
「ペペロンチーノ作るよ……」
短く呟くその言葉の中に、彼女の自信が見え隠れする。
ペペロンチーノといえば、唐辛子とニンニクが使われる、辛いスパゲッティ料理の代表格だ。
シンプルな中にも旨みと辛味、そのどちらもがバランス良く絡み合ったペペロンチーノは、賞賛される。

「始めるね……」
そう言うとシェミアは、まず、赤唐辛子を取り出した。
シェミアが務めている辛味亭ジェーンで使われているものだ。
辛味亭ジェーンといえば、『辛党の辛党による辛党の為の旅団!』と銘打っていることもあり、エンドブレイカーの中では知る人ぞ知る食事処なのである。
その辛味亭で実際に使われているという、契約農家から拘った厳選香辛料。……聞く程に辛そうではある。

トントントン……、赤唐辛子とニンニクを刻む音が小気味好い。
フライパンを火に掛け、オリーブオイルを手早く引くと、先ほど刻んだ紅白を放り込む。
ジャッジャッ……、軽く混ぜ合わせ、じっくりと火を通すことで特有の香気を引き出していく。
シェミアはそれと平行して、大きな鍋にたっぷりの水と多めに塩をいれてお湯を沸かす。

「お?オリーブオイルが、ほんのりオレンジ色になってきたっすね」
「ペペロンチーノは辛さが命だからね……。この油自体にもう、この唐辛子の辛さが移っているんだよ……」
「へー、そうなんっすかー」
「ちょっと、舐めてみる……?」
「へ……!?」
どうしようかなー、と迷っているナナセ。
無理はしなくてもいいよ、とシェミアは、そう、ほんの少しだけ目を細めた。

「さて、仕上げにはいらないと……」
「仕上げ……?」
1つ頷くことで肯定してみせたシェミアはとても楽しそうだった。
少なくとも、ナナセにはそう思えた。

「そう、色がついてきたら炒めるのを止めて、お湯が沸騰したらパスタを茹でるね……」
「茹で終われば、香草を刻んでさっと炒めて、全部混ぜ込めば、完成だよ……!」
(「料理すること自体を楽しむことが大事なんっすね」)
ナナセは、料理人としてのシェミアの姿を垣間見たに相違ないのだ。

「香草のさわやかさと、トウガラシのピリ辛具合がいい感じにおいしくなってると思う……」
味もだけど、香りも楽しんで欲しい、とシェミアは告げた。

◆パスタ料理作成~レベッカ編~
「あたしもエントリーするっすよ」
手を挙げ、我こそはと名乗り上げるのは、宿命の迷子・レベッカ(c04194)だった。
「凝ったものは作らないっつーか、作れないっす」
そう、きっぱりと明言するレベッカは、手馴れた手付きでカレンのトマトを刻んでいく。
2つの鍋に火が掛けられた。

その片方の鍋では、刻んだトマトを収めてコトコトととろ火で煮込む。
実は、塩を少し加えることで、トマトの甘みが引き立つのだ。

もう片方の鍋には水が張ってあり、沸騰したところに一口大に切ったイカを投入。
実はこのイカ、ちょっとした工夫が施してあったりする。
「イカが、ぱっと花開くっす」
「イカが花開くっすか?」
興味をそそられたのか、鍋を覗き込むナナセ。
「まぁ、見てれば分かるっすよ♪」

さっと一茹ですると、お湯の中でイカが踊り、その身を反らせて、まるで何かの細工物のようにも見える。
「これは、どういう……?」
「イカに格子状の切れ目を薄く入れたっすよ。
ちょっと器用さが必要っすけど、これをしておくと、イカにソースの味が絡まりやすくなるっすよ。それに、見た目の仕上がりも華やかになるっすよ♪」
鍋からイカをすくって水気を切ると、レベッカはそれを、細切りにしたミョウガと一緒に、フライパンで炒めていった。

大きめのフライパンに油を引いて、サイコロ状に切ったナスと、ざく切りにした小松菜を投入。塩胡椒でがっつり味付ける。
「これがレベッカ風っす」

新しくなみなみと水を張った鍋を火に掛け、沸騰するとスパゲッティを投入。
「さて、パスタを茹でている間に、もうひと仕事っすよ?」
煮込んでいた鍋のトマトを先ほどのフライパンに流し込み、よく混ぜ合わせる。
そして、ゆで上がる少し前にスパゲッティを引き上げる。
フライパンの中の具とよく混ぜ合わせ、皿に盛り付ければレベッカ特製スパゲッティの完成だ。

「うまくてもまずくてもご愛敬ってね」
時折見せるウインクの愛嬌は、勝負よりも何よりも、この場の雰囲気をいちばん楽しんでいるのがレベッカだということを、何よりも証明するものなのではないだろうか。

◆パスタ料理作成~クィ編~
ネコ耳のカチューシャを被ったクィを笑顔で迎えてくれたのは、チャイのお母さんである花咲く仕立て屋さん・アーネチカ(c23166)だ。
いつもは下ろしている長い赤茶の髪も、今日はアップで一つにまとめている。
フリルなエプロンと三角巾でバッチリ武装して、臨戦態勢は整ったって感じ☆

「おかえりなさい、クィちゃん。今日も元気にいきましょ~」
「はーい、なんだよう♪」
アーネチカがクィの為にと作ってくれた、子供用の小さな花柄のエプロンをつけて手を洗い、よいしょっと踏み台にのぼるクィ。
台の上にはパプリカやさやえんどう,エリンギと鶏もも肉などが置かれている。
「アーネチカさん、あの……、おいしそうに見える野菜の切り方は、どう切るの?」
「それはね……♪」
包丁を片手に持余す様子に、アーネチカがそっと後ろから抱っこするように。クィの手に、その手を添えて一緒に切っていく。
端から見れば、きっと仲の良い親子に見えることだろう。
「お野菜の大きさを揃えて…そうそう、上手よ~。クィちゃん偉いわ~」
「アーネチカさんに教えて頂けたから、なんだよう……♪」

材料をあらかた切り終わったところで、アーネチカは、こう切り出した。
「じゃぁ、後はクィちゃん1人でやってみようかな?」
アーネチカには、考えがあった。
(「何でも手助けするのは、助ける事とは違うの。でも、きっとクィちゃんなら出来るから」)
それを知ってか知らずか、クィは元気いっぱいに微笑む。
「うん。クィ、がんばっちゃうんだよう」

オリーブオイルを引いたフライパンに火をかけたところで、薄くスライスしたニンニクを入れていく。
程よい焼き目がついたところで鶏もも肉をじっくり焼いていく……。

途中、何度かハラハラする場面はあったものの、なんとか完成に辿り着いた事で、アーネチカは胸を撫で下ろすのだった。

●パスタの宴とその後に

「パスタですか~。いいですね~たまには」
みんなが作り終わった頃にふらりとやって来て、ひょいと顔を出したのは紅月の舞人・サザ(c06931)だ。
3度の飯に豆腐を食べても飽きる事が無いほど、こよなく豆腐を愛している彼は、流石に普段からは、パスタを食べる機会が少ないらしい。
遅れた手土産に~と、差し出したのは『おとうふプリン』。
「今日は暑いですからね。それに、ねぎらいの意味も込めて、黒蜜をかけてどうぞ」
エントリーした参加者にお手製スイーツを配っていく。

野外に設けられたいくつもの丸テーブルには、出品されたパスタ料理が所狭しと並べられている。
エントリーした人も、そうでない人も、好きなパスタを好きなだけ試食する事が出来るのだ。
会場の一角に、楠が枝を広げて木陰を落としている。
【睡蓮堂】に出入りしている面々は、その一角に陣取って、思いおもいに試食する事に決めたようだった。
(「みんなのも、おいしそうだなぁ……」)
並ぶ料理に、シェミアのお腹もくぅと鳴る。そんなシェミアにクィは、一緒に食べよう、とその手を取った。

「ヨツハさんのパスタ料理は冷製なのですか、夏にちょうどいいですね。あ、これ、つまらないものですけど、よかったらどうぞ」
そう言ってベルンハイトにもお手製のスイーツを差し出すサザ。試食をするべく、ちゃっかりとテーブルに同席している。

ベルンハイトは、【簡単ひんやり冷製パスタ ヨツハスペシャル】が出来るのが、今か今かと待ち遠しいのだろう。
「ヨツハが作るならなんでも美味ですよ!少なくとも私にとっては!Loveいずオーケーなわけでございます」
と、食べる前からこんな勢いだ。

「わたしも、みんなの料理もいっぱい味見しちゃいます♪」
遅れて来たサザに、愛らしいネコ耳のカチューシャをさり気なく渡すカレン。
それを受け取ると、サザはしっかり装着するのだった。

そこでヨツハの登場だ。
「ベル、お待たせ♪頑張って作ってみたけど、こんな感じでどうかな?」
待ってましたとばかりにパクつくベルンハイト。
「もちろん美味しいに決まってるよ。なにせヨツハの愛が詰まった料理だからね」
「だからヨツハも一緒に食べましょう!」
いつに無く有頂天な夫の様子にヨツハは心の中で呟いた。
(「ベル、わたし、今すごく…幸せだよ♪」)

甘く甘い二人だけの世界を肌でひしひしと感じるのはナナセだ。
(「自分も今晩はきっと……」)
愛する夫の喜ぶ顔を思い浮かべてぐぐっと拳を握り締め、今から晩御飯の算段を始めるナナセなのだった。
そんなナナセやヨツハの頭にちょいちょいっと、実に楽しそうにリボンを結んでいくのは、カレンその人だった。

「クィ達も、一緒に食べていいかな?」
おずおずと顔を出したクィとシェミアに、もちろんどうぞ、と、ヨツハは、そんな2人に優しく微笑んだ。
「クィちゃん、シェミアちゃん、こっちの席、空いてるよ」
先に来ていたチャイが2人を手招きする。もちろん、お母さんのアーネチカも一緒だ。
実は彼女、一皿ずつ平らげる程のくいしんぼう。積まれた皿はもう、何枚だろうか。
「ん~♪皆おいしくて選べない~」
と、皆に丸つけちゃったりして。

「お料理、いっぱいあるんだよう。どれから食べようか、クィ、迷っちゃうんだよう」
多種多彩な料理に、ついつい迷ってしまうクィ。
そんなクィにシェミアは、まずは自分の料理を勧めてみることにしたらしい。
「さ、これがわたしの香草入りペペロンチーノだよ……。クィ……食べてみる……?」
「シェミアさん特製のペペロンチーノ、クィも食べてみるね、ありがとう……♪」
嬉しそうに目を細めるクィ。
フォークにくるくる巻きつけて、ぱくっ……。
しばらくの間、沈黙が訪れた。
……ごっくん……。
「……どうかな……?」
涙目を隠せずに、クィは手の甲で涙を拭う。
「シェミアさん、あの……ペペロンチーノって、辛いんだね」
でも、おいしいよ、とにっこり微笑みつつも、ミルクのコップを引き寄せるクィなのだった。

めいめい、好きな料理を盛っては食べていく。好みはそれぞれあるようで……。
「おお~新しい味ですね。これは美味しい」
と、チャイの【冷製デザートパスタ】をパクつくのは、甘いものには目がないサザ。他の料理はそこそこに、すっかりデザートパスタにご満悦。

(「こっちも食べてみようかな」)
気まぐれに取った皿の端のネームプレートには『ヴァゼル』の文字。
(「見た目は普通のパスタ……だよね、これ……。でも、あのヴァゼルさんだし……。え~と……突っ込むべきか……でもただのどじっこかもしれないし……」)
そしてサザは、無難に笑ってスルーした。

次に取った皿の端のネームプレートには『クィ』の文字。
「……!美味しい~。クィちゃん料理上手ですね。きっといいお嫁さんになりますよ~」
照れるクィに思わず。
「じゃあ、うちに来てもらおうかな……?」
言ってしまったのは不覚だったかもしれない。サザは、たちまちの内にアーネチカとレベッカに腕を取られてしまった。
「あなたにはお仕置きが必要なようだね……?」
不敵に微笑むシェミアに抗う術を見出せず……。
「あふ~」
辛さで吹き飛ばしを受けてどこかに飛んで行ってしまった。

もうすぐ結果発表の時間だ。チャイは、半ばあきらめかけていた。
「まぁ、これくらいだよね~」
ひとり、ぽつり呟く。
「そんなことないわよ。あなたも沢山頑張った。そうでしょう?」
振り返ると母親のアーネチカが優しく微笑み掛けていた。
「あなたは私の、自慢の息子なのよ?きっとうまくいくわ。だから、元気出しなさいね♪」
ぽんぽんっと頭を撫でてくれる、その手の温かさが、チャイは無性に嬉しかった。

(「美味しく幸せな一日に感謝っすよ♪」)
今日一日、美味しいパスタと楽しい時間を皆と満喫したナナセは、大会が終わった後も、暫くはお料理談義に花を咲かせたりしていた。

カレンは、町の人になにやらプレゼント。果たして、その中身は……!
「私たちの旅団の名物なんですよ♪ここでもひろめてあげてください♪」
どうやら箱の中身は全部どじっこシールのようだ。うふっとウインクしたカレンの魅力に虜にされた男性が力強く頷いたとか。

結果は、チャイとクィの同率優勝。ふたりには、表彰状が授与された。
その時のチャイの驚きようは、後日、母親のアーネチカがたっぷりと語ってくれるだろう。

-おしまい-

TW3 【ミニ偽シナリオ】 ポイズンヴァイパーをやっつけろ! OP&リプレイ

ばたんっ!

大きな音が鳴るのも構わず、息せき切って少女が部屋の中へ駆け込んできた。

「ポイズンヴァイパーが出たの!
1匹は見かけたんだけど…もしかしたら、まだ他にもいるかもしれないし…」

今はまだ卵だけの被害ですんでいるけれど、卵、次々と飲み込まれていた様子から察するに、卵がなくなったらきっとその親…鶏ごと食べてしまいそうな勢いなのだと少女は告げた。

「それでね…ポイズンヴァイパーを退治するのを、手伝ってほしいの」
~~~~~~~~~~
<参加者>
◆猛る烈風・アヤセ(c01136)
◆天華の欠片・キリィ(c01934)
◆世界樹の妖精術士・シル(c25139)
◆兄想い・エリナ(c26549)
◆夜陰に咲く六花・ルーシア(c27132)
◆ほとりの・クィ(c03420)NPC
~~~~~~~~~~
やっぱりリプレイを外部に出すのは恥ずかしい~って方は、クィまでお手紙頂けるとありがたいです。
~~~~~~~~~~
●
「こっち、こっちなんだよう!」
 先ほど辿った跡を再び急ぐのは、ほとりの・クィ(c03420)だ。
「しかし、村の中にいつの間にこんなおっきなへびさん達が入ってきたんだろ?」
 共に駆けながらも、疑問を口にするのは世界樹の妖精術士・シル(c25139)。それもそのはず、季節は今や、冬の真っ只中だというのに……。
(「冬眠し損なったんでしょうか、このポイズンヴァイパーたち?」)
 何にせよ、誰かが襲われたら危ない事に変りは無いのだから、と密かに闘志も燃やすのは夜陰に咲く六花・ルーシア(c27132)である。
「ポイズンヴァイパーが群れで出ましたか……」
 拳をぐっと握り締め、ぽつりと呟くのは猛る烈風・アヤセ(c01136)。
(「あれは単体でも危険なもの。それが複数で、一般人を襲う危険がある……」)
「ならば、残らず退治してしまいましょう。罪無き人々を理不尽な暴力で不幸にするのは、許せません」
「ここはひとつ、村の平和の為にがんばりますかっ!」
 シルも同意と頷いてみせる。

 歩く度にその足元で煌くのは、雪の結晶を模したアンクレット。その動きがはた、と止まると天華の欠片・キリィ(c01934)の閃く絹糸のような銀髪がはらりと収まる。
「まだ卵で済んでいるからいいが……人に被害が及ぶ前に排除、だな……。ここか……」
「皆様、本日はよろしくお願いいたしますね」
 目に鮮やかな桃色が全身を覆う魔導装甲で駆け、息も上がらないのは兄想い・エリナ(c26549)だ。
「非マスカレイドとはいえ、このサイズの蛇は村には脅威ですわね。さくっと燃やしましょうか」
 柔らかな声色とは裏腹に、彼女が鞘から刀身を抜き放つと、緋色の魔法の炎が瞬時に纏われる。
 今度は一人じゃない、そう、グリッター村のとある一軒家に出入している仲間も一緒なのだ。

●
 そこには三メートルはあろうかというポイズンヴァイパーが四体、鶏の卵を抱えてとぐろを巻いていた。
「これは子供とか人が丸飲みされてもおかしくないから、止め刺しておく方が無難かな。村の中だし……」
 敵と見定め、すっ、とその魅惑的な瞳を細めるキリィ。
「え、このサイズだとわたしも丸呑みされちゃうの!?」
 見上げて驚いているシルに、ポイズンヴァイパーはキシャーと威嚇する。アヤセが後ろ手に庇いつつ、素早く陣形を整えていく。
「私は元より、人を飲み込んじゃうような蛇は退治です!!」
 その腕に蛇革バッグが下げられていたからだと彼女は気付いていただろうか。
「……色々大変な時に……出てくるならもっと空気を読んでっ」
 チョコ作りの途中でとりもあえず出てきたので、実は未だエプロン姿のルーシア。そのエプロンから漂う甘い匂いに、新たな餌だと認識したポイズンヴァイパー達もずるりずるりと動き出す。

 機先を制したのはアヤセだった。
「私の拳が光って唸る……です!!喰らいなさい!!」
 烈光の掌よ、もっと輝け!とばかりに、普段は漆黒のアヤセのバトルガントレットが輝く光を帯びて、ポイズンヴァイパーを掴み掛かる。
 ルーシアが自身の心を媒介にして創造した白銀の鎖は、巨躯に絡みついて放さない。
 クィが招いた追い風に乗ったエリナが豪奢で複雑な「炎の華」を描く斬撃を放つ。抜刀した衝撃で広がった炎から逃げられずに焼ききられた一体が力無く横たわった。
「まあ、この程度でダウンされるなんてひ弱ですわ」
 冑の中で小気味好いとほくそえむエリナ、そして思い出したようにクスリと哂う。
「蛇の肉って焼いたら食べられるのでしたっけ?」
 身の危険を感じたのか、お返しとばかりに牙をむくヴァイパーに肉薄したのはキリィだ。幻の純白の薔薇が舞う中、舞踏の様な華麗なステップで惑わす間に三つ四つ、と出来た隙にアイスレイピアを滑らせていく。
 白のロングドレスの際どいスリットが閃き、ちらりと覗く脚線美に、その意識は朦朧としたようだ。
「残念だが……こうするしかないのでね……」

「ニルちゃん、撃ち抜くよ!」
 小さな相棒に呼び掛けるのはシルだ。彼女は大きな翼の装飾がある白銀製の長杖を右手で軽々と持つと、左手をピストルの形にして妖精の矢を放つ。
 風に煽られていたところに胴を撃ち抜かれたポイズンヴァイパーは、大きく口を開けて喰らいつこうとするも、風の勢いにままならずその牙は空を切る。

 アヤセに握り締められていたヴァイパーがずるりと身を捩ると、その腕を噛みちぎろうと大口を開ける、と肩口から血が滴って彼女の純白な戦衣に赤い染みを広げていく。
 アヤセは一旦身を引くと、その掌の輝きを握り締めて、幾千という「竜」を帯びた拳と蹴りを連打していく。
「猛ろ烈風!!爆ぜろ竜!!ボコボコになっちゃいなさい……なのです」
「加勢しますね」
 再び白銀の鎖を創造したルーシア。包み込むように配したつもりだったが、どこに隙があったのだろうか。大蛇はあざ笑うようにするりと抜け出てしまう。

「クィの風に乗ってみるかな?」
 つむじ風を別の一体に向けると、少女は追い風も招いて見せた。
「キリィ様、お手伝いいたします。来なさい、星霊フェニックスよ」
 エリナが燃え盛る剣を天に仰ぐと一叢の炎がさざめき立ち、鳥の形を模っていく。
 キリィの周りを旋回すると、炎で出来た不死鳥の羽が幾枚かはらりと舞い降りた。炎の羽と純白の花弁が舞い散る中、華麗なステップを刻むその姿は雪の精のようで……。
「きれいなんだよう」
 妹でさえも、ほうと思わず目を見とれさせてしまう彼女が浮かべるのは涼しげな笑み。
「……共存って難しいのよね……。……また会いましょう、あの世でね」
 形のよい唇が言葉を紡ぎ細剣で薙ぎ払うと、クィがその胴を三つに斬り裂いていた。

「逃げるなー!ニルちゃん、ターゲットロックオン!」
 胴を撃ち抜かれた大蛇に、再びアヤセのサウザンドアーツが炸裂する。
「もう逃がしませんよっ」
 放たれた鎖は、幾重にも絡められていったのだった。

●
「アヤセさんっ!」
「ひどい怪我……いま治癒を。ニルちゃん、癒しの妖精環を描いて……」
 慌てて駆け寄るクィ。シルは祈るとフェアリー達がアヤセを取り囲んで祝福を与えていく。

「キリィさんもじっとしていてくださいね。月よ、癒しの光を……」
 だが構えていたのは泡立て器だった。
「ルーシア?」
「……すみません、間違えましたっ」
 では改めて、とすらりとムーンブレイドを抜いて天に掲げるルーシア。その透き通る翠淡色の刀身から淡い光が立ち上り、空に癒しをもたらす小さな月が現出する。
 真昼の月。聖月の光を浴びながら、まるでその麒麟の霊気を頂いているかのようだ、とキリィは想う。
「助かったよ、ありがとうな、ルーシア」
 ぽんと頭に手を置くと、もう大丈夫、とキリィは優雅に微笑んでみせた。

「蛇はどこから来たのでしょう?」
 それにしても、と切り出すのはエリナだ。鶏の卵を次口と飲み込んでしまう猛毒をもった巨大な蛇が四体も、それもこんな村の近くに。
「もしかしたら、近くに巣があるのかも…?」
「成る程ですわ。蛇の巣の高々一つや二つ、まして三つや四つ、わたくしの手に掛かれば、なんてことありませんわ!」
 意気揚々と蛇の巣を探索に出掛けたエリナ。彼女が如何にして見つけ出し、焼き払ったか、それは後々彼女の口から語られる事だろう。

「へびさん、迷い込んだだけかもしれないし、このままだとかわいそうだし、村の人たちもびっくりするだろうから、ちゃんと埋葬してあげるよ」
「そうだな、……あの樹の陰なんてどうだろうか?」
「そうですね、あそこなら人目につかなさそうですね」
 程なく埋葬を終えると、三人は祈りを捧げた。

 集められたのであろう無事に残った幾つかの卵に、親なのだろうか、鶏がコッコッコッコッと集まってきていた。
「あ、鶏さんなんだよう」
「ちゃんと避難していたんですね、無事でよかったわ」
 微笑み合った二人の肩に鶏冠の小さな鶏が乗りかかり、お礼のつもりなのか鶏冠をこすりつけてくる。
「ぁ……くすぐったいんだよう♪」
 周囲を取り囲まれ鶏まみれになるクィを微笑ましく見つめていたルーシアは、ヴァイパーが壊してしまった鶏小屋に目を遣る。脆くなっていたのだろうか、力づくで開けられた壁の穴は幸いそんなに大きなものではなく、ルーシアはほっと一息。
(「後でリペアマスターで修理しておきましょう」)

「さあ、改めてチョコを作りましょうかっ」
「おー☆」
 気合十分、遅れた分を取り戻すべく、近づきつつある決戦の日に向けての決意を新たにするルーシアなのだった。

 最後に、戻ってきた三人も、漏れなく鶏まみれになったことも記しておこう。
(Fine)

3481文字

TW3 【偽シナリオ】 ハロウィンに一工夫を

山々が赤や黄色に染まり、秋もすっかり深まったハロウィンも近い
ある日のこと。
夕闇迫る頃に、グリッター村のとある一軒家で小さな騒ぎが起きていた。
村の子供たちが帰って来ないのだと親達が相談に来たのだ。
子供たちは近まるハロウィンのために、何か工夫を思いついたらしく、
連れ立って山に出かけたのだという。

心配する彼らの話を聞き、子供たちを家で待つようなだめ、
彼らを見送ったクィは、扉を閉めると君たちに向き直る。
棚から村の周辺地図を広げると右上の手前の山を示す。

「村の子供たちは、この山に向かったそうなの。
子供たちは全部で3人。
ハロウィンの準備で、何かを取りに行ったのだそうです。
山で、何かあったのかもしれませんね。
一応、自警団の2チームにも捜索を頼むのだけれど、
私は今夜はここから離れるわけにいかないから、
よかったらみんなにも手伝ってもらえるとありがたいの。
それと、暗いから、みんなも足元に気をつけて、ね」

~~~
参加者
藍の剣鈴・レナス(c20602) 
赤い瞳の・ティ(c01976)
掲載許可をとりました。ありがとうございます。
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     <リプレイ>

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 急遽の呼びかけに応じることができたのは、藍の剣鈴・レナス(c20602)と赤い瞳の・ティ(c01976)、二人のエンドブレイカーだった。
 二人は村の自警団のチームと共に子供たちの向かった山へと急ぐ。
「急いで子供達を捜さないと。怖さと寒さできっと泣いているに違いない」
 秋の日はつるべ落としとは言うが、村を出てそう経たないのに辺りはすっかり暗くなってしまっていた。

 隊を二つに分けるというレナスの提案にティは頷き、レッドスターの面々と共に山に分け入る。
 20mほど間をあけて、横一列に並ぶ団員達。平面で捜索しようという作戦だ。
松明を掲げて笛を鳴らし、大きな声で子供たちに呼びかけつつ道なき道を上っていく。

 敵も気がかりですが……
「まずは子供たちを探します」
 一瞬の逡巡の後にきっぱりと言い切ると、レナスはブルースターを率いて山道を上っていくことにした。
「フィアンナ、子供たちを捜して。この山のどこかにある小さな洞穴に隠れているはずだから」
 そう言うと、レナスの肩に止まっていた小さな妖精、フィアンナは目で頷くと燐光を残して飛び立っていった。
「さぁ、私たちも急ぎましょう」

●
 道沿いに歩きながら捜索するレナスとブルースター。明りを掲げ、子供たちを呼ぶ。
 応える声があればいいのだけれども……
 行く道は暗く、上るほどに道は狭くなっていく。

 そんな折、フィアンナが舞い戻って来て何事か耳に口寄せて告げる。すぐ近くに敵がいるというのだ。
 場所は……、と見た右の藪から何ものか勢いよく飛び出してきた。見ればブランが巻き込まれて弾き飛ばされているではないか。明りを掲げると、そこには2mはあろうかという大イノシシ。
 鼻息も荒く、自慢の牙が鈍く煌いて刺し貫かんと構えるのを見て取ると、レナスは魔力を秘めた翼の羽を無数の光の剣に変え、瞬時に撃ち出す。
「ここは私が。ブルースターの面々は持てる攻撃をコウモリへ集中してください。様子を見て剣翼翔で援護致します」
 ここに敵がいるということは、この近くに子供たちがいるのでしょうか。レナスは湖面庭園 【睡蓮堂】団長を思いつつ、浄炎剣を握り直すのだった。

 木々の間からは、闇に紛れたコウモリが不気味な羽音を立ててブルースターの面々へ次々と襲いかかってくる。
 血を吸い上げようと群がってかじりついてくるコウモリに、あるものはガンナイフで振り払い、あるものは大剣を盾にせんと防御を固めている。
 走りこんで斧を振り上げ、エリックに集る鎧コウモリの胴に一撃食らわせるのは、にっと口角を上げるブランだ。
「前線は任せてください、これしきの傷」

「フィアンナ、いきますよ!」
 呼べば妖精がレナスの身体に、すぅっと溶け込むとレナスの背から妖精の翅が現われる。風を掴み、力強く羽ばたくとその勢いのままに攻勢をかけていく。
 乱れ舞うような予想できない剣戟の嵐に、どぅと倒れた大イノシシの巨体は静かに地を濡らしていった。

●
 一方、地道に子供たちの捜索を続けるティとレッドスターの面々は、少しずつ疲労が蓄積していた。
「おーい、助けに来たぞ~。どこにいるんだ~い」
 そんなに高くない山とはいえ山一つ、探す範囲は広く、本当に広く感じられる。笛の音や、大きな音はタイミングを合わせる工夫はしたものの、子供たちから返事が返ってくるだろうか。いや、そうでなくても探し出さねばならないのだと自分に言い聞かせ、夜の山にまた声を揃え上げていく。

 何度それが続いただろうか。次の声を上げようとした時に、かすかに声が聞こえたのだ。
 しっ…、じっと長い耳を立て、あっちだ!声のする方にグランスティードで駆ける。明りを掲げ、慌ててついて行くレッドスター。近づくほどに、剣戟や争いの音が聞こえる。レナスたちが戦っているに違いない。

 小さな洞窟の程近くでそれは起こっていた。見上げれば洞窟の入り口から子供たちが顔をこわごわと覗かせているではないか。ティはグランスティードを駆り一足飛びに子供たちのもとへ。
「わたしが来たからには、もう安心だ。レッドスターは子供たちを頼む」

 不意にバサッとその場を影が覆う。キキッ。鎧コウモリが翼を広げて男の子に襲いかかろうとしたところを真っ白い翼を広げて庇うティ。かじりつきからの強烈な吸血に額から血を流しつつも、にこっと笑顔を見せる。
「大丈夫だ、これくらい、なんてないぞ」
 お返しとばかりに翼を氷へと変え一刺し。強烈な冷気を注ぎ込むと鎧コウモリはたちまちの内に分厚い氷の中に閉じ込められ、ゴトリ、と足元へ落ちた。

●
 レッドスターが子供たちのもとへ辿り着くのを見届けるとすぐさま踵を返して助力に向かう。
「レナス、こうもりは私が打ち落とす。大物の方を、頼む!」
「いつも通りたたきつぶしましたわ。問題は…」
 胸元のEwigkeit *Zukunftが煌くレナスの見遣る先には苦戦するブルースター。

 二人は頷き合い、共に背の翼を大きく広げる。
「「閃煌剣翼翔!」」
 無数の光の剣に姿を変えた羽が辺り一帯を覆い、石の鎧のような皮膚を次々と刺し貫いていく。
 広げた翼も裂かれては空を飛ぶこともできないコウモリは地に落ち、後には再び、夜の静寂が訪れた。

 子供たちと合流後、レナスは「楽園の門」を開き、仲間の傷を優しく癒す。ティは子供たちをグランスティードに順番に乗せているようだ。
 そして子供たちのお目当ての蔦は、どうやらこの洞窟の外の岩壁にあったようで、フィアンナにも手伝ってもらってあれやこれやと一騒動して無事に手に入れることができ、子供たちも満足そう。

 レナスの傍らにいる小さな妖精に女の子も興味深々に見たりなんかするので、レナスはフィアンナとはアイコンタクト一つで意思疎通ができる頼れる相棒よ、と説明したりしながら村への帰路を護衛するのだった。
 無事に下山して村に着く頃には白々と夜が明けていて、それでもまだ明々と明りを灯した一軒家から走ってくる影があるのを二人は認めるのだった。

みんなのうた>『銀杏楽団カルテット』

みんなのうたをTVで時々見ている。

最近の自分的なHITは、『銀杏楽団カルテット』。
多分、『だんご三兄弟』並にシュール。

美術がね、またシュールコミカル。
あーいうのは、結構好き。

でも人前では私は絶対にできないと思う。
恥ずかしくて。

演奏会用のコミカルパートとしては絶対ウケルと思う今日このごろ。

2014年11月10日月曜日

My急須

 My急須を買った。
波佐見焼きだった。

花の模様が可愛らしいのだが、あれは焼成後に別途焼き付けるものなので、幾つもあるひとまとまり毎の柄は全く同じものだ。
子供の時分に知り合った方が、その仕事をされていたのを思い出した。
仕事といっても、多分アルバイトに近いのではないかと思う。

My急須を買ったのは、今回が初めてのこと。
急須自体は、祖父母の家では当たり前のように日常に溶け込んでいた。
だから馴染はあるのだが、自分用にと選んだことは無かった。

家を離れてしばらくは紅茶を親しんでいたけれど、最近は緑茶を飲むことが多くなった。
緑茶は癖が少なくてまろやかだなぁと思う。