2019年10月4日金曜日

澪女

別の世界でミオナに逢っていた。
それはずっと前のことで
もう10年以上も前のことになる昔話だ。

ミオナは泣いていた。
どうしようもなくて泣き濡れていた。
だから私は寄り添った。

それから同じ種族ということもあって
私たちは、しばらく時を共にした。
戦火が激しくなり共に戦い
私は命を散らした。

今度は私の手で
また、彼女を泣かせてしまった。
もっと思い出に残しておけばよかったね
後悔は、ほろ苦い。

別の世界で私は2度、ミオナに出逢うことができた。
1つは奇跡の再会。
もうひとつは、きっと運命の悪戯。

あの時の名刺を、ふと、目にして
ふたつのミオナが繋がった気がした。

ミオナは私に素敵なプレゼントを残してくれた。
あのまばゆいステージで
彼女はパッショネイトダンスを踊ったのだから。

私の心に鼓舞を与えてくれた彼女は
ほどなくして嫁いで行った。
私たちの縁は、いつも儚い
仮初めの縁なのだろうと想うのだ。

形に残した思い出は、ひとつ。
2人で過ごした
今はもう戻らない日常を
思い出と共に噛み締めながら…。


『無限のファンタジア』(C)小野の雪/にまい/トミーウォーカー

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