2015年5月15日金曜日

2015.4.10 の夢

私の生きた、何番目の記憶であろうか。
私は、最愛の人を失った。

彼は、変わった教授(或いは研究者)として知られていた。
私は、何度も彼のお世話になったし…。
彼は、いつも古い本に囲まれていた。
いつ洗濯したのか分からないようなぼろをまとっていた。
研究する事が好きで、それで、時々実践した。

私は動物の飼育員の傍ら、彼の助手(自称)として
彼の研究所によく入り浸ったものだった。
そんな彼が亡くなった。
私が研究室を出る際にもらった、本のコピーした紙の束が
彼の唯一の形見だ。

あぁ、走馬灯のようによみがえってくる彼との記憶。
これを書きながらも、私は、涙を禁じえない。
夢で見た、私の何番目かの未来か過去の物語。


彼は、脳に関する研究をしているようだった。
度々研究室を訪れる私も、周りからは変人扱いだったが、
そんなことはどうでもよかった。

時々、私の血栓を取ってくれたりした教授は、いつもは、脳に関する
薀蓄を話してくれた。
ハイハイと聞き流しながら、散らかりきった研究室の中を
マイペースで掃除したものだった。

彼の手術は、器具を使わなかった。
手を当てて、しばらくしてから壁に向かって手を強く振るのだ。
すると壁には薄い血の跡が残る。
サイキックなのか、時代的にそれが可能なのかは分からないけれど、
夢の中の私は、それを受け入れていた。

年齢不詳の彼。
亡くなったのは、99歳でした。
年はある程度取られていると思ってはいたけれど、
まさか90代とは思わず、知った時には驚きました。


彼との秘密の研究室での奇妙な生活は、
艶話こそ無いものの、とても充実したものだった。
素人の私が投げかける下手な問答にも、
彼は一々応えてくれましたし、
研究の邪魔さえしなければ、私を受け入れてくれました。

お別れの日、私は彼を看取ることもついに出来ませんでした。
でもいいのです。
彼は、私の心の中で生きているから。ずっと…。

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